夏に増える「痛風発作」―突然の激痛が起きたときの対処法と、尿酸値を放置しないために
暑い夏になると増えやすい病気の一つが、痛風発作です。
「朝起きたら、足の親指の付け根が急に痛くなった」
「赤く腫れて、靴下が触れるだけでも痛い」
このような症状がある場合、痛風発作の可能性があります。
痛風は、ある日突然起こるため「急に発症した病気」と思われがちですが、実際には、血液中の尿酸値が高い状態が長く続き、関節に尿酸の結晶が蓄積した結果として起こります。
今回は、夏に痛風発作が起こりやすい理由や、発作が起きたときの対処法、健康診断で尿酸値を指摘された場合に注意していただきたいことについて解説します。
尿酸は、体内の新陳代謝によって生じる老廃物の一つです。
通常は血液中に溶けた状態で存在し、主に腎臓から尿として体外へ排出されます。しかし、尿酸が作られ過ぎたり、腎臓から十分に排出できなかったりすると、血液中の尿酸が増えていきます。
血清尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態を高尿酸血症といいます。高尿酸血症が続くと、溶けきれなくなった尿酸が針のような結晶となって関節にたまり、それに対して強い炎症反応が起こることで、痛風発作が生じます。
痛風発作が起こりやすい場所は、足の親指の付け根です。そのほか、足首、足の甲、膝、アキレス腱周囲などに起こることもあります。
発作が起こると、関節が赤く腫れ、熱を持ち、非常に強い痛みが出ます。布団や衣服が触れるだけでも痛むことがあり、歩くことが難しくなる場合もあります。
夏に痛風発作が増える大きな理由の一つは、脱水です。
気温が高くなると汗をかく量が増えます。汗で体の水分が失われると、血液が濃縮され、相対的に尿酸値が上がりやすくなります。また、尿の量が減ることで、尿酸を体外へ排出しにくくなります。
特に注意が必要なのは、屋外で仕事をする方、スポーツやゴルフをする方、サウナを利用する方、冷房の効いた室内で水分摂取が少なくなっている方です。
夏はビールなどのアルコールを飲む機会が増えることも、痛風発作の一因になります。
アルコールは尿酸が作られる量を増やすだけでなく、尿酸の排出を妨げることがあります。ビールに限らず、日本酒、焼酎、ワインなども、飲み過ぎれば尿酸値に影響します。高尿酸血症を指摘されている方は、お酒の種類だけでなく、飲酒量そのものを見直すことが大切です。
さらに、夏休みやお盆の時期には、焼き肉、ホルモン、魚卵、干物、ラーメンなどを食べる機会が増えたり、食事や睡眠のリズムが乱れたりすることもあります。
脱水、飲酒、食べ過ぎ、激しい運動、疲労などが重なることで、痛風発作が起こりやすくなるのです。
痛風や高尿酸血症には、家族性・遺伝的な体質が関係することがあります。
「父親や兄弟が痛風になっている」「親族に尿酸値が高い人が多い」という方は、尿酸を体外へ排出しにくい体質などを受け継いでいる可能性があります。
もちろん、家族に痛風の人がいるからといって、必ず発症するわけではありません。反対に、家族歴がなくても、肥満、飲酒、食生活、運動不足、腎機能の低下、服用している薬の影響などによって尿酸値が上がることがあります。
ただし、家族に痛風や高尿酸血症の方がいる場合は、若い方や自覚症状がない方でも、健康診断の尿酸値を意識して確認することをおすすめします。
痛風と思われる急な関節痛が起きた場合は、まず患部を安静にしてください。
痛みのある足に体重をかけたり、無理に歩いたりすると、炎症が悪化することがあります。可能であれば横になり、患部を心臓より少し高い位置に保ちましょう。
患部に熱感や腫れがある場合は、保冷剤などをタオルで包み、短時間ずつ冷やすと痛みが和らぐことがあります。
一方で、患部を強く揉む、マッサージする、長時間温める、飲酒する、激しい運動をするといった行動は避けてください。
水分も少しずつ補給しましょう。ただし、心臓病や腎臓病などで水分制限を受けている方は、自己判断で大量に飲まず、医師の指示に従ってください。
痛み止めについては、体質や腎機能、胃腸の状態、現在服用している薬によって適切な薬が異なります。特に市販薬を重ねて飲んだり、家族の処方薬を飲んだりすることは危険です。
また、すでに尿酸値を下げる薬を服用している方は、痛みが出たからといって自己判断で中止したり、量を増減したりしないようにしましょう。
痛風発作が疑われる場合は、できるだけ早めに医療機関を受診してください。
関節が赤く腫れて強く痛む病気は、痛風だけではありません。
細菌感染による化膿性関節炎、偽痛風、外傷、骨折、蜂窩織炎などでも、痛風に似た症状が起こることがあります。
特に、発熱や悪寒がある、傷や化膿がある、全身状態が悪い、痛みが急速に悪化している場合は、感染症の可能性もあるため、早めの受診が必要です。
「以前も痛風だったから今回も同じだろう」と自己判断せず、症状が強い場合や、初めて発症した場合は医師の診察を受けましょう。
高尿酸血症の怖いところは、尿酸値が高いだけの時期には、ほとんど自覚症状がないことです。
しかし、痛風発作を起こしていなくても、尿酸値が高い状態を放置してよいわけではありません。
高尿酸血症が続くと、痛風発作だけでなく、尿路結石や腎障害を起こすことがあります。また、高尿酸血症のある方は、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病などを併せ持つことが多く、脳卒中や心臓病などの心血管疾患との関連も指摘されています。
そのため、痛みがない場合でも、尿酸値だけを見るのではなく、腎機能、血圧、血糖値、コレステロール、中性脂肪、体重、飲酒量などを含めて、全身の状態を確認することが重要です。
治療が必要かどうかは、尿酸値の高さだけでなく、痛風発作の有無、尿路結石、腎機能、高血圧や糖尿病などの合併症を考慮して判断します。
健康診断で尿酸値が高いと指摘されても、「痛くないから大丈夫」「お酒を少し減らせばよいだろう」と、そのままにしている方は少なくありません。
しかし、痛風発作は、体内に尿酸の結晶が蓄積した結果として起こります。発作が起きてから治療するだけではなく、発作が起こる前に尿酸値や生活習慣を確認し、必要な対策を始めることが大切です。
特に、次のような方は一度受診をおすすめします。
・健康診断で尿酸値が7.0mg/dLを超えていた
・過去に痛風発作らしい痛みがあった
・家族に痛風や高尿酸血症の人がいる
・尿路結石になったことがある
・腎機能の低下を指摘されている
・高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満がある
・お酒を飲む機会が多い
・足の親指、足首、膝などが突然赤く腫れて痛くなった
尿酸値が高い原因や、必要な治療は人によって異なります。食事や飲酒の見直しだけで改善する場合もあれば、薬による治療が必要な場合もあります。
夏場は、汗による脱水や飲酒、食生活の変化などが重なり、痛風発作が起こりやすい季節です。
こまめな水分補給を心がけ、アルコールや食べ過ぎを控え、極端な脱水を避けましょう。
そして、健康診断で尿酸値の高さを指摘されたことがある方は、痛みが出るまで放置せず、一度医療機関で詳しく確認することをおすすめします。
口石やすひろ整形外科クリニックでは、突然起こった足や膝などの関節痛について、診察や必要な検査を行い、痛風を含めた原因を判断します。
足の親指や足首、膝などに急な腫れや強い痛みが出た方、尿酸値について不安がある方は、お早めにご相談ください。