変形性膝関節症に対する「正しい運動療法」

「ウォーキングやランニングは膝に良いですか?」——変形性膝関節症の患者さんから頻繁にいただく質問です。

結論は、条件付きで“有益”にも“有害”にもなり得るです。

特に半月板などのクッション機能が低下している場合、衝撃の大きい運動は軟骨に負担となり、痛みを悪化させることがあります。

大切なのは、関節を傷めない方法で筋力と機能を回復させること。

私たち口石やすひろ整形外科クリニック(有田町/伊万里市・武雄市・佐世保市・波佐見町・川棚町から多数来院)では、理学療法士が関節にやさしい運動処方で、痛みの軽減から再発予防まで伴走します。

さらに選択肢としてPRP療法(自己血小板由来成分を用いる再生医療)も提供しています。

なぜ運動が必要か

  • 大腿四頭筋の機能回復:膝の安定性の要。正しく鍛えると関節面の圧力が分散し、痛みが和らぎます。

  • 可動域・柔軟性の改善:膝だけでなく股関節・足関節の硬さが膝の負担を増やします。連動性を取り戻すことが鍵。

  • 代謝・血流の促進:軟骨は血管が乏しく、関節液の循環が栄養供給の主役。適切な運動が循環を促します。

当院の運動リハビリ(段階的アプローチ)

  1. 痛みのコントロール:炎症が強い時期は負荷を抑え、関節にやさしい荷重調整・物理療法を行い、必要に応じて慢性痛に適した薬や漢方を併用。

  2. 負担の少ない筋力トレーニング

    • 膝を痛めない大腿四頭筋訓練(例:クアドセッティング、下肢挙上)

    • 臀筋群の強化(股関節外転・伸展)で膝内側の過負荷を軽減

    • 足関節・ふくらはぎの機能改善で推進力を確保

  3. 関節に優しい有酸素エアロバイク・プール歩行は衝撃が少なくおすすめ。

  4. 動作の再教育:立ち上がり・階段・片脚支持など日常動作を痛みの出ないフォームで練習。

  5. セルフケアの定着:自宅でできる5〜10分ルーティンを作成し、再発しにくい生活へ。

ウォーキング/ランニングとの付き合い方

  • 基本方針:痛みが落ち着くまでは衝撃の強いランニングは回避。ウォーキングはクッション性の高いシューズを選び、アスファルトは可能な限り避けて芝・土・ウレタンなど柔らかい路面を。

  • 距離・頻度:痛み0〜2/10の範囲で短距離から漸増。翌日に痛みや腫れが残るなら負荷を一段階戻します。

  • フォーム:歩幅をやや小さく、体幹を立てて踵から静かに接地。腕振りでリズムを保ち、膝へのブレーキを減らします。

  • 代替案:体重コントロールや心肺機能の維持には自転車・水中運動が安全で効果的です。

シューズと環境の工夫

  • ミッドソールが厚く反発の穏やかな靴、踵の安定性が高いものを。必要に応じてインソールで足部アラインメントを補正。

  • 下り坂や段差・硬い路面は負荷増。コース選びで関節を守りましょう。

PRP療法という選択肢

運動療法のベースは不変ですが、炎症や痛みが続く方・注射や内服での改善が乏しい方にはPRP療法もご提案可能です。自己血から取り出した成分を用い、組織の修復環境を整えることを目指す治療で、リハビリと組み合わせることで機能回復の後押しが期待できます(適応やスケジュールは診察時に丁寧にご説明します)。

体重管理と生活習慣

膝関節は一歩ごとに体重の2〜3倍の力がかかるといわれます。1kgの減量でも膝の負担は大きく軽減。食事・睡眠・ストレス管理も併せて見直し、関節に優しい生活を目指しましょう。

よくある誤解

  • 「筋トレは痛いからやらない」 → 痛みを出さない“やり方”があります。フォームと負荷設定が大切。

  • 「水泳だけで十分?」 → とても良い選択ですが、地上での機能(立つ・歩く)に直結する筋群も補強しましょう。

  • 「注射だけで良くなる?」 → 痛みを和らげる助けにはなりますが、再発予防には運動療法が不可欠です。

地域のみなさまへ

有田町・伊万里市・武雄市・佐世保市・波佐見町・川棚町から多くの方が運動療法での改善を実感されています。

「痛みを取る」だけでなく「痛みが出にくい膝」を一緒に作る——そのための評価・処方・継続支援を、理学療法士の個別リハビリ+必要最小限の薬・漢方+PRP療法という選択肢でご提供します。


膝の痛みでお困りの方は、口石やすひろ整形外科クリニックへお気軽にご相談ください。

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